キアヌ初監督!!『キアヌ・リーブス ファイティング・タイガー』キアヌ・リーブスインタビュー


ウォシャウスキー兄弟やサム・ライミ、そしてフランシス・フォード・コッポラといった有名な監督等と共に仕事をし、25年間映画業界に携わっているキアヌ・リーブスが、『ファイティング・タイガー』にて待ちに待った監督デビューを果たした。

映画は、香港と北京の両都市で撮影され、闇の格闘戦が繰り広げられる世界へと誘い込まれた若い武術家の旅について語られる現代のカンフー物語である。

チャイナ・フィルム・グループ、ワンダ・メディア、ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ・アジアそしてユニバーサル・ピクチャーズによる、世界を股にかけた画期的な共同製作。加えて今回、『マトリックス』の三部作においてキアヌ・リーブスを指導し、スティーヴン・フォンによって2005年に製作された映画『ドラゴン・プロジェクト』以来、スターの座に就いたスタントマン・武術トレーナーであり、俳優でもあるタイガー・チェンが青年役を演じる。



映画で共演するのはメインの悪役を演じるキアヌ・リーブスと、『80デイズ』において国際的にも著名な香港の歌手であり、女優でもあるカレン・モクであり、劇中の会話は北京語・広東語・英語で行われている。

また、本作をプロデュ−スするのは、キアヌ・リーブスの出演作品である『50歳の恋愛白書』や『フェイク・クライム』において仕事をしたことのあるレモア・シヴァン。今回は、キアヌ・リーブスがタイガー・チェンとの関係や、監督するに至った経緯について、さらに、レモア・シヴァンと本作のようなユニークな計画がいかにして生まれたかということについて語っている。


Q.『ファイティング・タイガー』はどのような物語ですか?

キアヌ・リーブス(以後、KR):現代の北京を舞台に、闇の格闘戦に巻き込まれ、寺院を守るために僕が演じるドナカによって操られる青年(タイガー・チェン)の物語なんだ。彼は単なる配達人だけれど、一方で太極拳の武道家でもある。本作は彼の無垢な旅を追う。自分の寺院を守るための旅が進み、闇の格闘戦に深入りするにつれ、彼の力が増大していくんだ。そしてこの旅を通じて、最終的には自分自身と直面せざるを得ない主人公が自分の無垢な心を失っていく過程を観客は見ることになる。



Q.どのような経緯であなた方二人はこのプロジェクトとユニバーサルとチャイナ・フィルム・グループ間の共同製作に参加するに至ったのですか?

KR:主演のタイガー・フー・チェンは『マトリックス』で一緒に仕事をした仲で、長年に渡りいろいろと話す機会があってそこから友達になったんだ。映画を撮り終えた後も連絡を取り続けていた。彼はスタントマンとして演技を始めたけど、その間も交流していくうちに一緒に何かやってみないかという話になった。僕たちは5年間かけてストーリーを考案し、それが後の『ファイティング・タイガー』となったんだ。

そうしてこの映画は始まり、次第に脚本もできた。この映画では、北京語、英語そして広東語が使われているんだ。脚本そのものが、とてもユニークなアイディアとストーリーで構成されているから、必然的にユニークなプロデューサーを起用することになった。このストーリーを語ることができるプロデューサーはレモア・シヴァンの他にいないと思ったのさ。彼女とは『50歳の恋愛白書』や『フェイク・クライム』で一緒に仕事をした仲なんだ。何年もの構想を重ねた後に彼女に脚本を見せて「どうかこの脚本を読んでみてくれないか。興味あるかい、レモア?」と尋ねんたんだ。

レモア・シヴァン(以後、LS):さらに彼は「中国語による中国カンフー映画だよ、どう?」と聞いてきたのよ。それで脚本を読んで、私は彼に「ぜひやらせて。素晴らしい脚本だわ。」と言ったの。

そもそも、現代のカンフー映画は随分長い間、作られてこなかったのよ。カンフー映画自体はたくさん作られたけど、それらは昔のカンフー映画だわ。私は現代の中国に興味があったの。それに、誰だってどこかでブルース・リーの映画を観たでしょ?私は彼の映画の大ファンだったの。

この作品には素晴らしいメッセージが込められていると思うわ。国境や海、大陸を超えたストーリー、それもキアヌが監督したものを語るには素晴らしい機会だと思ったの。ストーリー自体はとても胸を打つような情感がこもったものであるし、同時にカンフー映画というジャンル映画は商業的でもあるのよ。だから素晴らしいと思ったの。

でも、それから実際に映画化するという任務はとても困難だったわ。初めての監督業に、なんといっても中国映画だから、かなりの時間を要したのよ。私とキアヌはたくさん拒否されたけれど、最終的には受け入れてくれるところを見つけたの。チャイナ・フィルム・グループは一番に名乗り出て、もう一社、中国の企業を誘い入れるために協力してくれたのよ。そして、私たちは最初からとても協力的だった素晴らしい企業、ヴィレッジ・ロードショーに、同様に素晴らしく協力的でアイディアを気に入ってくれたユニバーサルを誘い入れるために一丸となって取り組んだのよ。こうして映画の製作に関わる人は北京語、広東語、英語で書かれた脚本、カンフーストーリー、初監督という状況に直面したの。初といっても、こ
の業界での芸歴という意味ではとても経験のある初監督だけれどね!

私たちはストーリー、キアヌと彼の仕事、そして脚本に大きな共通の信念を見出していたの。だからビジネスさえ一旦片付いてしまったら、映画を作ること、それをどうやって作るか、キアヌや製作陣のやり方を取り入れて、それに忠実であり続けることへの挑戦が始まったのよ。私たちは長い間、中国で過ごしたわ。準備や撮影を香港と北京の両都市で行ったの。ほとんどは北京だったけれどね。そうやってこの映画は作られたの。



Q.あなたは映画の中で使用される三つの言語の内一つを話すけれど、それが障害となったことはあった?また、異国の地での撮影はどうだった?

KR:障害を挙げるとすれば、聞く耳を持たなければいけなかったことかな。僕が監督作業を進めるにあたって、他の人との協力は必要不可欠だったからね。でも、僕は最高のスタッフたちと彼らの見事なサポートによって北京と香港での撮影で素晴らしい経験をすることができたよ。特に通訳者に関しては見事なサポートをしてもらったよ。キャスティングや俳優たちとの撮影シーンに取り組むとき、例えば主人公と両親との場面だとしたら、真実っぽく見えるのはどんな演出なのかを考えなければならないんだ。この映画はチェン・フーを中心として構成されていたんだ。彼は武術の経験のある青年、それもその道のプロで、伝統を心得ているんだ。でも同時にとても現代的でもある。だからそれもあって、我々にはその基盤、彼の人生経験、そして俳優陣が揃っていたから、文字通り、みんなあってこその作品だったよ。

Q.レモア・シヴァン、中国の映画産業の成長とハリウッドとの関係をどうみていますか?

LS:あくまでも今回の経験からしか話せないけれど、観客が求めているものは、ハラハラドキドキするのと同時に、ちゃんと面白いストーリーがあるものだと思う。キアヌ・リーブスの口癖は、いつも「カンフー映画は最高だけど、ちゃんとしたストーリーがないとね。」だったわ。結局のところ、私たちはそれを達成することができたと思うわ。世界中の観客は、映画館に行って、楽しい時間を過ごして、存分に泣いて、笑ったりと全ての要素を求めているのよ。

Q.あなたにとって映画に欠かせないものとは?

LS:一番重要なのは内容ね。とりわけこの映画はそういう意味で、とってもユニークで先駆的なのよ。全てひっくるめてそこが面白かったわ。たくさんの映画製作者やプロデューサーが同じ道を目指すことを願っているわ。私たちは「今やっていることはいい意味クレイジーよ!」といつも言ってしまうの。



Q.ずっと前から監督業をやってみたかったのですか?

KR:4,5年前くらい前かな?年を取っただけかもしれないけど、価値観が変わってきて、監督することについて考え始めたんだ。僕は伝えるべき物語がある時だけ、監督すると決めていたんだけど、時間をかけて脚本を書いていくうちに、次第に僕の心に訴えかけてくる、物語の展開に欠かせない価値観というものが生まれ始めたんだ。その物語なら語ることができると思ったし、なにより他の誰にも語らせたくなかったんだ!そうして、監督を引き受けるに至ったんだよ。

LS:映画を製作する上で精神面での準備が必要だったことは明らかだったわ。キアヌが実際にそう呼んでいたように、かなりタフなベテランスタッフがいたのよ。カンフー映画を既にやったことのある中国人や、オーストラリアや香港から来た業界経験がある人々ね。師匠のユエン・ウーピン自身さえ、我々の恐れ知らずのリーダーであるキアヌ・リーブスが、障害や言語の壁といったすべてのものを乗り越えて、プロダクション全体をスタッフと共に引っ張っていったことにとてもびっくりしていたわ。彼は自分の伝えたいことに無我夢中であったことは確かだったわね。

Q.ドキュメンタリー『サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ』を製作する上で、様々な監督と一緒に仕事をしたことは自身が監督する上で役に立った?

KR:『サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ』を製作する中で、このドキュメンタリーは僕がデジタルについてよく理解するのに確実に役に立ったよ。だから撮ることになったんだけどね。それに以前、3Dデジタルで作った『47RONIN』という映画に取り掛かっていたから、少しだけ影響を受けたこともあるんだ。これが非常に役に立った。僕は偉大なカメラマンであるエリオット・デイヴィスと一緒に仕事をしたんだ。彼は『トワイライト〜初恋〜』や『アウト・オブ・サイト』を含む四つのソダーバーグ監督の映画を手がけた人物で、とても個性的なキャラクターだ。初監督するにあたって彼の様な偉大なカメラマンと一緒に仕事できたのは光栄だったね。この映画を製作する上で一番楽しかったことの一つは、ストーリーを語るためのショットを探したこと、そして言うまでもないが、既に一緒に仕事をしたことのある監督みんなと仕事ができたことも役に立ったね。

LS:この映画を撮影している間、ちょうど同じ時期『サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ』の撮影が終わりに近づいていて、その編集をしている段階だったのよ。私は「すべての要素はあなたの映画、『サイド・バイ・サイド 』の中にあるわ。私たちの間で今起きていることは、このドキュメンタリーの中にあるのよ」と何度も言ったの。それほど素晴らしかったのよ。

Q.この映画から学んだ一番の教訓は何ですか?

KR:この映画から学んだ一番の教訓?思いつかないよ。人として、アーティストとして、俳優として、このストーリーを語ることの一員であること自体が願ってもない贈り物だったからね。監督の立場として、映画に対して責任はあるが、ここまでくるのに一人ではたどり着くことができなかった。そういった意味で、映画を製作するありとあらゆる面において、いろんな人と協力し合えたことが贈り物だったよ。俳優たち、音響、そしてレモア・シヴァンやパートナー企業と仕事できたことは最高だったよ。

Q.カンフー映画のどんなところが好き?

KR:僕はブルース・リー映画が好きな典型的な子供だった。幼い時にニューヨークのタイムズ・スクエアで『キング・ボクサー/大逆転』(1972)の映画を観たことを覚えているんだ。映画は奇想天外で、素晴らしくて、力がみなぎる何かがあった。それが『マトリックス』で僕のカンフーに足を踏み入れるきっかけとなったんだ。といってもその前にいくつかのアクション映画をやったことはあったんだけどね。カンフー映画は楽しいよ!「演技をする」という意味で、この映画で僕はかなりいい闘いをしてるんだ。それにもう一度ユエン・ウーピンと仕事をするのはとても楽しかったよ。

僕のアクションへの期待と抱負は、「闘い」のシーンを通して物語を語ることだったんだ。「闘い」のシーンは、それを通じて主人公のタイガーがどう変化するか、どんな困難をどう切り抜けていくのか、ということを見ることができる「演技」のシーンだと思っているよ。カンフー映画のアクションへの期待はそこかな。

Q.この映画における普遍的なテーマは何ですか?

KR:その質問をされるといろんなことが僕の頭の中に浮かんでくるよ。最終的には一体となって力を合わせ、共に協力すること、現代においても伝統を維持し続けていくことだと思う。物事が常に前へ進んでいる中で、僕たちは時に文化的にも、物理的にも、内面的にも過去を失い、破壊してしまう。このストーリーは、権力への誘惑や、ありとあらゆる困難がひしめく世界において、本当の自分や、自分への思いやりをいかに持ち続けられるかといった試練に立ち向かう一人の青年の姿を追っているんだ。これがこの映画の普遍的テーマになり得るんじゃないかと期待しているよ。

Q.映画産業において、これは合作映画はトレンドの一部ですか?中国とアメリカによる共同製作は映画産業において大きな一歩なりうるでしょうか?

KR:たまにそう思う時があるよ。撮影は中国で行ったし、真の共同製作といえるし、そのことについてはレモア・シヴァンが詳しく話せるよ。でも、一般的に僕が考える共同製作は、世界各国の映画産業において、既に始動していたと思う。でも異なる文化やショービジネスにおける共同製作は、中国だけが例外ではなく、新しい試みの一つなんだよ。

LS:私たちが撮影して気づいたことは、文化や伝統を跨ぐ、世界共通のストーリーへの大きな憧れをみんな持っているということよ。キアヌ・リーブスの映画の撮影方法やカンフーを語る切り口が他とは一味違っていると同時に、親しみやすさがあるのよ。それに中国映画であると同時に外国映画でもあるわ。私はこれが真実であることに期待しているのよ。それも、近い将来、実際に、世界共通の様々な文化や背景を持った人々にもみせられるようなストーリーが出来上がることをね。その中でも特に、未来の映画製作者がその方向へと進めるように道を切り開いていくよう期待しているの。映画産業は一つの世界へとなりつつあるのよ。我々がアメリカで観たものは、例えば中国でも同時期に公開されたりするわ。こういったことは重要な節目だと思うのよ。

Q.また監督をするつもりはありますか?

KR:そうしたいと思うよ、ただ語るべきと思う物語を見つけなきゃいけないだけさ。今は語るべき物語がないからね。


Q.撮影中で一番クレイジーだった出来事は?

KR:どんな映画を撮影する時も、それぞれ大変なことを抱えているものさ。この映画は様々な言語を話すスタッフたちで構成されていたからね。撮影には実に105日もかかったんだ。北京や香港で撮影をして、通りでの撮影もあったりおまけに組み立てたセットも抱えていた。だから毎日が映画製作における挑戦であったし、しかも毎日の挑戦がクレイジーだったよ。自分なりにプランを立てて、計画的に物事を行おうと試みても、人生は計画通りにはいかないんだ。でも、たまにうまくいく時もあるけどね。香港でのハリケーンはちょっとクレイジーな出来事として数えられるかもしれないね。

僕たちは北京で撮影を始めたんだが、新しい冒険といったある種の一面があったんだ。以前にも外国映画を作ったことがあったけれど、この撮影現場においてはいつもとは違う何かが起きていたんだ。それは徐々に勢いを増していって、僕たちが軌道に乗り始めて撮影を始めた時に起きたんだ。路上で何百ものエキストラが襲撃するシーンや写真を撮影している時、映画を撮影している時にたまに起きる、すべてが上手く融合する時があって、「やってやろうじゃないか!」ってなるんだ。





『キアヌ・リーブス ファイティング・タイガー』
8月6日(水)リリース
【Blu-ray】¥3,800(税別)、【DVD】¥3,200(税別)
★Blu-ray・DVD同日レンタル開始
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
(C)2013 Universal Studios, Village Roadshow Pictures Asia, China Film Co.
Ltd, Wanda Media Co Ltd. All Rights Reserved.





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